美容整形をしたいと思っていろいろ調べていると、「整形失敗」の写真や口コミなどが出てきて不安になりますよね。もし、私自身が美容整形を受けることになったとしても同じように不安を感じると思います。私は10年間美容外科医として勤務していて、たくさんの患者様を診察してきました。その経験の中で、どのような患者様が失敗してしまうのかという傾向は掴めています。それを踏まえて、美容整形で失敗してしまう患者様の特徴的な行動パターン、ワースト5を発表したいと思います。
目次
・整形失敗について
そもそも整形失敗とは?
・整形失敗する人の特徴ワースト5
整形失敗する人の特徴5位
整形失敗する人の特徴4位
整形失敗する人の特徴3位
整形失敗する人の特徴2位
整形失敗する人の特徴1位
・まとめ
整形失敗しないために
整形失敗について
そもそも整形失敗とは?
ワースト5の発表の前に、美容整形の失敗について定義する必要があります。美容整形の失敗とは、患者様の希望の状態とは異なる状態が完成して、元に戻したり修正することが困難な状況のことです。そのような状況を私たち美容外科医は「整形の失敗」であると考えています。 仮に、希望通りにならなかったとしても、修正さえできれば最終的に患者様の希望の状態を実現できますし、あるいは最低でも手術前の状態に戻すことができれば、失敗とは言えないでしょう。
また、美容整形には術後腫れている時期があり、ダウンタイムと呼ばれています。ダウンタイム中に起きる変化、例えば腫れ・腫れに伴う左右差・内出血などが該当しますが、このような変化はダウンタイムが終わると治ります。このように、待てば自然に治るものは失敗とは言えないでしょう。ダウンタイム中の変化は程度の差こそありますが、全ての患者様に起きることであり、それを事前に説明を受けて納得した上で受けているからです。また、医療行為を行う上で100%防ぐことができない感染などのリスク(合併症)も失敗とは言えません。

まとめると美容整形の失敗とは、患者様の希望した状態にならず、それが固定化して元に戻すことも修正することも難しい状態のことであり、ダウンタイムに伴う変化や医療行為に伴うリスクなどは含まれないものとします。以上を理解した上で、整形失敗してしまう人の特徴ワースト5をご覧ください。
整形失敗する人の特徴ワースト5

整形失敗する人の特徴第5位
第5位は「症例写真や医師の経歴でドクターを選ぶ」人です。
症例写真について
症例写真で医師を選んではダメというのは意外ではないでしょうか?
よくあるのが、インスタグラムなどのSNSを見て「症例写真綺麗だなぁ、このドクターにしよう」という人。こういう考え方の人は騙されやすい、釣られやすい人なので注意しましょう。
例えば、ある症例モニターさんの手術をしたけどSNS映えしない、あるいは左右差があるなどの場合、その症例の写真をSNSに載せると思いますか?私を含めて全ての美容外科医に言えることですが、良い症例しか症例写真には載せません。つまり、症例写真に綺麗な症例が並んでいるのは当たり前なので、綺麗な症例が多いからという理由でドクターを選ぶのは意味が無いし危ないことなのです。
また、例えば二重整形術後の症例写真でとても二重のラインが綺麗な症例が載っていたとしましょう。しかし、そのラインがそのモニターさんにとって希望のデザインであったかどうかはわからないですよね。そして、まぶたの状態は個人差があり、症例写真の二重がすごく綺麗でも必ずしもその二重を自分のまぶたで再現できるというわけではないのです。以上から、症例写真を見てドクターを選ぶのはやめた方が良いです。
ではなぜ、私は症例写真をSNSやホームページに載せ続けるのでしょうか?それは、残念ながら多くの患者様が症例写真を見てドクターを選ぶからです。どんなに技術を持っていて良い医療を提供しようと思っていても、それだけで患者様が来てくれるわけではないのが現実です。症例写真は、患者様を呼ぶための1つのツールです。患者様を呼ぶために、私も症例写真を出さざるを得ないから出しているというだけで、もし症例写真を載せなくても患者様がたくさん来てくれるのであれば、SNSに症例写真はわざわざ載せていないかもしれません。
また、症例写真はクリニックによっては普通に加工しています。加工している症例写真はあまり意味が無いと思います。私自身も症例写真ができるだけ綺麗に写るように撮影するカメラ、機材にこだわりますし、良いアプリで編集します。徹底的にこだわります。それは、患者様に来てもらうためであり、多くの美容外科医が同じことをしています。いわば、いかに症例写真や症例動画を綺麗に見せるかという競争をしているのであって、症例が綺麗=技術が高いことの証明ではなく、撮影技術、編集技術が優れいていることの証明でしかないのです。当然、そのような技術は私にはないので専門スタッフが撮影、編集、投稿を行っています。
もちろん、手術した症例のうち、どのくらいの症例を実際に投稿できるかという割合はドクターによってかなり差があります。私のように、ほとんど全ての症例を投稿している場合もありますが、仕上がり微妙でほとんど載せられないドクターもいます。それは、外部から伺い知ることはできませんが、定期的に症例が更新されていてその数も多ければ、それだけ上手くいっている症例が多いという指標にはなるかもしれません。
医師の経歴について
もう1つは、医師の経歴です。私のように「大手美容外科で10年勤務してました、東京エリア総括院長、技術指導医のトップでした」、こういうわかりやすい経歴であれば、患者様も判断できると思います。しかし、多くの美容外科医は患者様がみてもよくわからない経歴しかないのです。二重専門医、クマ取り王子、小顔職人などは、ブランディングのために自分で言っているに過ぎません。形成外科専門医、美容外科専門医なども、一定期間特定の診療科・医療機関に在籍してペーパーテストをパスすれば基本的には取得できる合格率の高い資格であり、そのドクターが技術的に優れいている証というわけではありません。
実際に一緒に働いたり手術を見学しなければそのドクターの技量を判断することは私でもできません。まして、経歴を見ただけで患者様が判断することは不可能だと思います。ホームページやSNSにある経歴は、ブランディングのためにつけているもので、いわば患者様を呼び込むためのエサなのです。特に技術や経験などを反映しているものでは無く、逆に経験が浅いと悟られるような不都合なことは書いてなかったりもします。経歴を見てドクターを選ぶことは、ブランディングのためにまかれたエサに釣られてしまっていることになるので、ドクター選びで失敗する確率が高くなるのでやめた方が良いでしょう。
整形失敗する人の特徴第4位
第4位は「デザインに関して医師のアドバイスを聞かない」人です。
医学的に不可能なこと、一般的な美的感覚をかなり逸脱していること、そういう人類いませんよねということ、そういうことを希望される人は失敗確率が非常に高くなります。そのような場合、そのデザインを希望するなら美容整形をやらない方が良いですよとアドバイスします。普通のドクターなら色々な意味でリスクが高いので引き受けません。アドバイスして常識的な範囲のデザインに落ち着かせるも、私たちの仕事だと思っています。
もちろん、患者様のご要望はできるだけ実現できるようしたいですが、医学的な限界や実際に実行した場合のリスクもあるわけです。ここまでが限界ですというのをお伝えして、それで大丈夫ですということであればお引き受けしますし、もっとと言われればお断りします。それはやってしまうことによって最終的に患者様が後悔してしまうし、一生周囲から好奇な目で見られることになりますから。どこまでなら大丈夫か、安全なのかというのは私は経験上わかるので、その範囲内で患者様の希望を叶える努力をします。ドクターのアドバイスを聞いて、できるだけ自分の希望に近い形をドクターと対話しながら模索していくのが良いでしょう。従って整形に失敗しないためには、患者様もドクターもきちんとコミュニケーションをとっていくのが大事と言えます。
特に切開系の施術でこの考え方は重要です。例えば、二重埋没法であればどんなに変なデザインになったとしても、抜糸してしまえば元に戻すことができます。修正も簡単です。逆に、1回切開した人体の組織は、切開したことを無かったことには絶対にできないですし、切除した組織を戻すこともできません。従って、元の状態に戻したり修正が困難になります。従って、切開系の施術を希望されている方は、特に慎重にドクターに希望を伝えることと、アドバイスに耳を傾けることが失敗を回避する上で重要です。
中には、やりすぎのデザインに固執して断られると、別のクリニックを受診してやってもらえるドクターを探す患者様もいます。経験の少ないドクターが引き受けてしまって大変なことになる場合もあるので、断られた経験がある患者様は特に注意しましょう。
整形失敗する人の特徴第3位
第3位は「術式や施術の順番、切るミリ数などを自分で決める」人です。
「ダウンタイムの都合」、「予算の都合」、「友達がこれをやったから」、「ネットにこう書いてあったから」などの理由で、来院したときにすでにどの施術を受けるかを決めてきてしまっている、複合施術の場合にまずこの施術からしたいなど順番を決めてしまっている、何ミリ皮膚を切って取ってほしいなどミリ数を指定してくる、このような注文をドクターにしてしまっていませんか?これは、ドクターからするとかなりやりにくいし、場合によってはその通りにやったら大変なことになってしまいますので、やめた方が良いと言えます。
考えてみてください。フレンチのフルコースを食べに来たとしましょう。メインを肉にするとか、魚にするとか、焼き加減の好みを伝えるとか、こういう注文は当たり前ですがOKです。でも、魚をどの調理器具で何分焼いてくださいとか、この調味料を使ってくださいとか言わないですよね。そこまで言ってしまうと料理が台無しになるし、あなたはフレンチ作ったことあるんですか?って話になりますよね。そこは、シェフが1番良いと思っている味付けとか調理法に任せた方が、最高のものが食べられると思いませんか?これは、ラーメン屋だとしても同じことです。客が注文するのは、ラーメンの種類や量、トッピングであって、スープの出汁の取り方や麺のゆでる時間ではないのです。
美容整形も同じで、受けに来る人のほとんどは実際に自分で手術したことが無い人なわけですから、術式や詳細なやり方については、プロに任せた方が良い仕上がりが期待できるわけです。
例えば、二重整形にしても「何ミリの幅で作ってください」などとよく言われますが、どこをどう測った「何ミリ」のことを言っているのか。目頭、中央、目尻でもミリ数は違います。測り方、右左、測る人によっても違います。
施術の内容にしてもそうですね。例えば、「ほうれい線が気になるのでボトックスを打ってください」と言われることもあります。そもそも、ほうれい線にボトックスを打つことはありません。ほうれい線が気になる場合には、簡単なものだとヒアルロン酸注入、他にはリフトアップ手術などが適応になります。患者様が施術の内容を決めてほうれい線にボトックスを打ってしまったら大変なことになります。だから、施術の内容は決めてこない方が良いです。
「ほうれい線が気になるので目立たなくしたいです」という注文はOK
「ほうれい線が気になるのでボトックスを打ってください」という注文はNG
あとは順番ですね。「鼻を全部治したいんだけど、最初に小鼻を切りたいです」と言われてしまうと、次の手術がやりにくくなってしまう。鼻整形のセオリーとして、鼻先を最初にやるというのが原則です。鼻先と小鼻の両方が気になる場合、最初に鼻先の手術をして次に小鼻の手術をやるというのは、美容外科医の常識なのです。先に小鼻をやってしまうと、皮膚の余裕が無くなって鼻先の手術が思うようにできなくなる可能性があるからです。複合手術の場合、自分で順番を決めないで専門家のアドバイスを聞いてから決めるのが得策です。
まとめると、美容整形をする際は、状態に合わせて適切な施術があるので、専門家のアドバイスを参考にして施術の内容や順番を決めるようにしましょう。また、切除するミリ数などの細かい術式については専門家に任せましょう。
整形失敗する人の特徴第2位
第2位は「元に戻したり修正が困難な切開系の施術を安易に受ける」人です。
例えば、美容整形をしたことが無くて切開系の施術を考えている場合は注意した方が良いです。絶対しない方が良いということではないですが・・。
美容整形の施術は大きく分けて2つに分類されます。
①簡単にできて修正も簡単だけど、時間が経つと元に戻ってしまう施術
例:二重埋没法、糸リフト
②長持ちするけど完全に元に戻したり修正が難しい施術で、一般的には切開系の施術
例:二重切開法、切開リフト

①の様な元に戻したり修正が簡単な施術は理論的には失敗という状態が存在しない施術になります。二重埋没法で失敗するというのはあり得ないわけです。糸を抜糸すれば元に戻せるし、修正も容易だからですね。従って、美容整形の失敗が心配な方は失敗があり得ない施術を受けるというのが最大の対策になります。
逆にいうと②のような切開系の施術は元に戻せないので、最悪失敗してしまう可能性があるわけです。もし受けるのであればより慎重に適応を考えて、また、しっかりドクター選ぶことが重要です。
切開系の施術を受ける患者様になぜ切開したいのか聞いてみると、「元に戻ってしまうことが心配だから」という答えが返ってきます。主に持続力を心配して切開系の施術を受けるという方も多いですが、元に戻ってしまうリスクよりも、元に戻したり修正できないことの方が医学的にはリスクが高いです。というわで、初めて二重整形を受けるなら埋没法、リフトアップなら糸リフトを受けることを当院ではお勧めしています。

整形失敗する人の特徴第1位
第1位は「ダウンタイム中に修正する」人です。
心配でクリニックに駆け込んで来たり、すぐに診てくださいと言ってくる患者様もたくさん経験があるので、「今すぐに直したい」というお気持ち、すごくわかります。
でも、ダウンタイム中に修正するということは、美容整形では最もやってはいけないことなのです。このコラムを読んでいる患者様も、美容外科医も、これだけはしないようにお願いします。
ダウンタイムは腫れや内出血がある時期であり、いわば完成していない時期です。例えば二重整形で言えば、腫れによって幅が広くなったり左右差がある時期です。全ての人がそういう経過をたどるわけであり、ある意味上手くいっている可能性がある良い兆候なわけです。逆に、ダウンタイム中にも関わらずバッチリ理想の状態となっているのであれば、その時こそ「これって失敗してるんじゃないの?」と心配するべきなのです。腫れている状態が理想なら、腫れが引いたら、理想の状態ではなくなってしまう可能性があるからです。
あとは、他人の経過と自分の経過を比べないこと。ネット上でダウンタイムの情報を調べないこと。極力鏡を見ないこと。他の人の経過と比べても、状態も違うし、施術内容も実は違うかもしれないわけです。施術したドクターも違うので、施術のやり方も違います。他人のダウンタイムの経過を自分の状態と比較して悲観しても、早く腫れが引くわけではありません。「これはうまくいっている兆候なんだと」と思って、前向きに明るく過ごせる人の方が実は経過も仕上がりも良いというジンクスが私たちの業界ではあります。悲観的な人は、泣いてしまい腫れが全然引かないということ原因ですが、ストレスが多いと創傷治癒の遅延や免疫力の低下で思わぬ合併症を引き起こすリスクが高まる可能性があります。
ダウンタイムというのは理想の状態じゃないのが当たり前なのですが、もし、そこで修正してしまった場合に何が起こるでしょうか。ダウンタイムが終わったときに理想とは違う状態になる可能性が高くなるのです。例えば、ダウンタイム中に二重の修正をする場合、腫れているために正確なシミュレーションができません。だから、ダウンタイム中に修正するというのは、100%失敗する方法ということになります。ダウンタイム中に修正することは自ら失敗する方法を選んでいるということなので、それはやめましょうという話です。だから、ダウンタイム中でも修正手術を受け入れてしまうドクターは、「患者様想いの優しい先生」ではなく、「失敗する危ない先生」ということなのです。二重埋没法であれば、当院では2~3ヶ月で完成すると説明しています。もちろん、術後1週間くらいでほとんど完成している人もいますが、腫れが強くなれば2~3ヶ月は二重のラインが変化していきます。従って、修正手術を希望するとしても2~3ヶ月は待ってくださいと説明しています。待っていれば理想の状態になる可能性が高いですし、逆に修正したら理想の状態にはならないからですね。
繰り返しにはなりますが、ダウンタイム中に理想の状態ではないのは通常経過であり、修正してしまうと理想とは異なる状態になってしまいます。修正を考えるのではなく成功している可能性がある良い兆候であると考えて過ごすようにしましょう。
まとめ
整形失敗しないために
「整形失敗」は美容整形を検討している人、また美容整形を終えたばかりの人が誰もが一度は不安になることではないでしょうか。私は美容外科医として多くの患者様と接する中で、整形失敗してしまって相談に来る方、整形失敗していないのにそう思い込んでいる方を診察してきた経験があります。
その経験の中から、整形失敗してしまうリスクの高い方の考え方や行動パターンが分かってきました。それらを回避することで、整形失敗のリスクを下げることができると考えています。このコラムを読むことで、悲しい思いをする患者様が少しでも減ることが私の願いです。
参考コラム:二重整形の失敗が怖い、失敗しないためにはどうしたら良い?
コラム著者

大手美容外科TCB東京中央美容外科で約10年間勤務。仙台駅前院院長、新宿三丁目院(TCB本院)院長・東京都エリア総括院長を歴任。TCBでは技術指導医部門のトップ・二重整形教育最高責任者として、指導的な役割を務めていた。YouTubeなどで美容整形に関する情報発信に積極的で、その内容がテレビ、雑誌、ネットニュースサイトなどに多数取り上げられた。豊富な症例実績を背景に10年間で培った技術を適正価格で提供する手術専門クリニックを2025年、地元仙台に開業した。
症例数:二重手術1万件以上、クマ取り手術5000件以上、糸リフト・切開リフト5000件以上、下肢静脈瘤3000件以上
資格:外科専門医、脈管専門医
学会発表・論文:経結膜的埋没法重瞼術の抜糸法の要点と成績
詳しい経歴・プロフィールなどはドクター紹介をご覧ください。