顎プロテーゼ(下顎形成)とは

「顎が小さい」「顎が後退して口から首にかけての段差が少ない」ことによって、顔が間延びした印象となってしまったり、痩せてるのに二重顎が目立つように見えてしまったりします。
顎プロテーゼは口元が緩い状態(口ポカン)状態となっている輪郭にプロテーゼ(シリコンプロテーゼ)を挿入することで顎を形成し、輪郭を整える施術です。
日本人は元来、下顎骨が小さい方や成長期に骨が十分な発達を果たせず、顎が小さいままの方も多く、ご自身の顎の状態をコンプレックスとして捉えている方も少なくありません。
軽度の場合は「華奢な顎で小顔に見える」といった印象となりますが、重度の場合は横顔を見たときに口元が出ている「出っ歯状態」に見えたり、正面から見た時に首と顎の境目が曖昧になり、いわゆる二重顎状態に見えてしまうこともあります。
このような「顎のない顔」の骨格に医療用のシリコンプロテーゼを入れて固定することによって顎を適切に突出させてバランスの良い輪郭を形成するのが顎のプロテーゼ(下顎形成)です。
術前には局所麻酔を行います。
ご希望によっては笑気麻酔などを使用し、痛みを和らげることも可能です。
切開は口の中から行うので、顔の表面に傷跡が残ることはありません。
またいわゆる『ケツ顎』、『割れ顎』と呼ばれる顎の凹み改善にも顎プロテーゼは適用されます。
凹み部分のみを埋めるのではなく、プロテーゼで顎先を覆って顎全体にボリュームを出してを改善します。
顎プロテーゼ(下顎形成)こんな方におすすめ
- 顎が引っ込んでいる(小さい)方
- 顎・首周りの脂肪量が少ないのに二重顎に見える方
- 丸顔の方
- 顎のラインをシャープな形にしたい方
- 『ケツ顎』を治したい方
- Eラインを整えたい方
顎プロテーゼによるEライン形成

顎にプロテーゼを挿入することで最大のメリットとなるのが「Eライン」を形成しやすくなることです。
「Eライン」とはエステティックライン(esthetic line)とも呼ばれ、横顔の鼻先と唇とあご先が一直線で結ばれているラインのことです。
鼻先とあご先を直線で結んだEラインの内側に唇が入っていると、理想のEラインの状態と言われています。
「顎のない状態」では鼻の下からのメリハリがなく、顔全体が間延びして見えてしまいがちですが、Eラインを整えると、顔全体のバランスが良くなり、目鼻立ちがはっきりとして見える上、立体感が生まれ小顔効果も出てきます。
ヒアルロン酸注入との違い
下顎形成の主な施術方法としてもう一つ代表的な施術としてヒアルロン酸注入がありますが顎のプロテーゼ挿入との違いは以下の通りです。
◆顎のプロテーゼ
- プロテーゼは吸収されたり消えたりしないために効果は永続的
- 再手術やメンテナンスは不要
- 口腔内を切開するためダウンタイムがある
◆ヒアルロン酸注入
- 通常1年程度で体内に溶け込むため効果が永続的でない
- 頻繁なメンテナンスは必要になる
- 切開を必要としないためダウンタイムはほぼない
顎プロテーゼ(下顎形成)の手術方法

STEP.1カウンセリング・プロテーゼのデザイン
カウンセリングと医師による診断で理想的なラインを患者様に確認します。
輪郭形成はお顔全体のバランスを見て行う必要があるため、念入りにすり合わせさせていただきます。
その後、デザインを行い、顎の形にあわせたプロテーゼを選択し、削り出しを行い形を整えます。

STEP.2麻酔・マーキング
改めて現在の骨の状態を確認して、術前にマーキングを行います
その後、麻酔を行い麻酔が効いてきたことを確認後、施術を始めます。

STEP.3切開・剥離
口唇の裏側にある口腔内粘膜に約3cmの切開をします。
粘膜と口輪筋(唇の周りを囲んでいる筋肉)の間を剥離し、プロテーゼを挿入するスペースを作ります。
口を開けた時に傷が見えることはありません。
また、口腔内は他の体の部位に比べて傷の治りが早いのでご安心ください。

STEP.4プロテーゼ挿入
作ったスペースにプロテーゼを挿入します。

STEP.5テーピング固定
切開創を縫合後、テーピング固定を行います。
顎プロテーゼのリスク・副作用・ダウンタイム
腫れ
腫れは、手術中に使用する局所麻酔および手術に伴う組織の反応に関係します。
腫れるということは「膨らむ」という形で表れます。柔らかい皮膚の場所ほど腫れやすくなり、顎は皮下組織が比較的厚い場所であるため、腫れが目立ちにくい部分です。
更にテープ固定で圧迫することにより過度の腫れを抑えるため腫れは目立ちにくくなります。 腫れが原因のダウンタイムは個人差がありますが大体3日から7日間となります。腫れが完全に消失してシャープさが出てくるまではもう少し時間がかかります。
内出血
術中に丁寧に止血しますが、内出血が出る場合があります。内出血が出た場合、1~2週間で徐々に消失していきます。
内出血が出るのは顎の正面ではなく、顎下から首にかけてのラインが多いです。
メイクで隠すことも可能です。
術後の痛み
術後の2、3日は若干の鈍痛があります。
腫れに伴う痛みであるため腫れの消失とともに痛みは改善されます。 もちろん鎮痛薬の処方も対応しますので、内服していただければ仕事などを通常通りに行ってもらって大丈夫です。
顎プロテーゼの術後アフターケア

術後は通常テープ固定を3日間行います。 テープ固定することによって、プロテーゼの位置がずれることと腫れと内出血を抑えることができます。
施術当日からシャワー・入浴は可能ですが長湯は控えてください。
サウナや激しい運動、顔のマッサージ、飲酒などは腫れ・痛みなどの原因となりますので1週間はお控えください。
就寝時にうつ伏せの状態で寝たり、頬杖をつく行為は顎に負担がかかってしまう可能性があるので、ご注意ください。