ケロイド・傷跡修正とは?

ケロイド・傷跡修正とは、凹凸や色の変化によって目立っている手術痕や火傷などの傷跡を可能な限り目立たなくする治療です。傷跡が硬く盛り上がったり、赤みが残っていたりする状態は、見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。
ケロイドは傷跡が元の範囲を超えて周囲の正常な皮膚にまで広がるのが特徴です。特に胸や肩、耳、背中といった部位に発生しやすく、痛みやかゆみを伴うことが多い点が挙げられます。放置するとさらに成長する傾向があり、自然に治ることはほとんどないため、適切な治療が必要です。
また、傷跡には「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」と呼ばれる状態もあります。赤く盛り上がるものの、ケロイドほど激しい症状を引き起こすことはありません。時間の経過とともに徐々に小さくなったり、目立たなくなる場合もあるため、軽度の場合には経過観察で対応できることもあります。ただし、瘢痕が目立つ場合や痛みがある場合は、治療をした方が良いでしょう。
当院では、このような目立つケロイド・傷跡に対し、切開法とケナコルト注射(ステロイド注射)の2つの治療法を提供しています。手術痕やヤケドの傷跡が気になる方に対し、当院では患者様の症状やお悩みに応じた最適な治療プランをご提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
ケロイド・傷跡修正の治療方法
切開法

切開法は、目立つケロイドや傷跡を外科的に切除し、目立ちにくい状態へと整える治療法です。特に、大きく盛り上がったケロイドや既存の治療で改善が難しい傷跡に適しています。当院では、形成外科の専門的な手法である「W形成術」や「Z形成術」などにも対応しております。
W形成術は、傷跡をジグザグ状に切開し、その後丁寧に縫合する方法です。直線的で目立ちやすい傷跡を分散させ、光の反射を利用して、傷跡を目立たなくする効果があります。特に顔など、見た目が重要な部位の傷跡修正に適しています。
Z形成術は、傷跡の方向を変えるために三角形の皮膚片を作り、それを入れ替える手法です。この技術は、皮膚のひきつれ(拘縮)を改善する効果があり、特に関節部分や動きが求められる部位の治療に最適です。日常生活の不便さを軽減し、見た目と機能の両方を改善することができます。
リスク・副作用・ダウンタイム
手術後には、一時的な腫れや内出血が生じることがありますが、これらは通常数日から数週間で改善します。感染のリスクもありますが、当院では衛生管理を徹底しており、必要に応じて抗生物質を処方するなど、術後の状態をしっかりフォローいたします。
ケロイド体質の方では、新しい傷跡が再びケロイド化する可能性があります。このリスクを軽減するため、当院では必要に応じてケナコルト注射(ステロイド注射)などのアフターケアを行います。
また、傷跡の端に「ドッグイヤー」と呼ばれる盛り上がりが生じる可能性があります。当院では、手術デザインの段階でこれを予防するよう配慮しており、万が一術後にドッグイヤーが目立つ場合でも、局所的な修正手術を行うことで自然な仕上がりを実現します。
ケナコルト注射(ステロイド注射)

ケナコルト注射(ステロイド注射)は、トリアムシノロンアセトニドというステロイド製剤を患部に直接注射する治療法です。ステロイドは、喘息やアレルギー疾患、関節炎などの治療にも使われる薬剤で、体内の炎症を鎮めるとともに、免疫系の過剰な反応を抑制する力を持っています。この特性がケロイドや肥厚性瘢痕の治療にも役立っています。
ケロイドや肥厚性瘢痕は、傷の治癒過程で皮膚が過剰に修復されることで生じます。この過剰な修復を引き起こすのは、瘢痕組織を形成するコラーゲンの異常な増殖です。ケナコルト注射では、ステロイドがコラーゲン産生を抑制し、瘢痕組織の成長をコントロールします。同時に炎症を鎮め、痛みやかゆみなどの不快な症状を軽減します。これらの作用により傷跡が柔らかくなり、見た目の改善も期待できます。
ケナコルト注射の大きな特徴は、手術を伴わない非侵襲的な治療であることです。メスを使用せずに短時間の施術で完了するため、身体への負担が少なく、気軽に治療を受けることができます。また、治療後すぐに日常生活に戻れるため、忙しい方にも適した方法です。傷跡の硬さを和らげる効果を早い段階で実感できるケースも多く、特に初期のケロイドや肥厚性瘢痕に対して高い効果を発揮します。
リスク・副作用・ダウンタイム
注射後に一時的な痛みや赤み、腫れが生じる場合がありますが、ほとんどの場合、時間の経過とともに改善します。また、注射部位の皮膚が薄くなる「皮膚の菲薄化」や、脂肪が萎縮して凹むことがあるため、注射の量や間隔を慎重に調整し、必要最小限の施術を行っています。皮膚の色素が変化し、色が薄くなる(色素脱失)または濃くなる(色素沈着)可能性もありますが、患者様の肌質や状態を見極めた上で治療を行います。
稀に感染症が発生するリスクも考えられますが、当院では衛生管理を徹底しており、患者様が安心して施術を受けられる環境を整えています。また、施術後に何か異常を感じた場合には、迅速に対応できるようフォロー体制を整えていますので、ご不安な点があればいつでもご相談ください。
当院のケロイド・傷跡修正における特徴

経験豊富な医師によるオーダーメイド治療
当院では、形成外科や美容外科の専門知識と豊富な経験を持つ医師が施術を担当しています。ケロイドや肥厚性瘢痕は、患者様ごとに症状や進行状況が異なるため、正確な診断と治療法の選択が非常に重要です。当院では、患者様の肌質や症状の特徴を丁寧に診察し、切開法による外科的治療とケナコルト注射(ステロイド注射)を組み合わせることで、患者様のニーズに合わせたオーダーメイドの治療を提供いたします。
痛みや不安を軽減する配慮
ケロイドや傷跡の修正治療は、患者様にとって身体的にも精神的にも負担を感じる場合があります。当院では、患者様が少しでも安心して施術を受けられるよう、痛みや不安を軽減するための環境作りを大切にしています。施術中の痛みを最小限に抑えるため、局所麻酔や必要に応じて笑気麻酔を併用することで、リラックスした状態で治療を進めることが可能です。
丁寧なアフターケアとフォロー体制
ケロイドや傷跡は、手術後の経過やケアがその後の仕上がりに大きな影響を与えます。当院では、施術後も患者様の傷跡がより目立たない状態で回復するよう、丁寧なアフターケアを提供しています。必要に応じて追加の治療やアドバイスを提供することで、患者様が長期間にわたり満足いただける仕上がりを維持できるよう努めています。
当院のケロイド・傷跡修正の流れ

STEP.1カウンセリングと診察
まず初めに、患者様のお悩みやご希望を丁寧にお伺いし、ケロイドや傷跡の状態を詳しく診察します。この段階では、傷跡の場所、大きさ、状態、発生してからの期間などを詳しく確認し、最適な治療法をご提案いたします。治療法ごとのメリットや期待できる効果、術後のケアについても詳しく説明し、不安を解消した上で治療を進めていきます。

STEP.2治療計画の立案
診察結果に基づき、最適な治療計画を立てます。切開法が適している場合は、どの部分をどの程度切除するのか、どのように縫合するかを細かく計画します。一方、ケナコルト注射が適している場合には、注射を行う部位や頻度、治療回数についてご説明します。場合によっては、これらを組み合わせた治療を行い、より効果的な結果を目指します。

STEP.3治療の実施
切開法では、盛り上がったケロイドや傷跡部分を外科的に切除し、形成外科的技術を用いて丁寧に縫合します。施術時間はおおよそ30〜60分程度です。ケナコルト注射の場合は、瘢痕組織に直接ステロイド剤を注入し、施術は数分で完了します。いずれの場合も、施術中は医師が患者様の状態を細かく確認し、安全でスムーズに治療を進めます。

STEP.4術後のケアと経過観察
切開法の場合、施術後は治療部位を清潔に保ち、縫合部分の保護が重要です。軽い腫れや赤みが数日続く場合がありますが、1週間程度で改善するのが一般的です。治療部位の抜糸は通常1週間後に行います。
ケナコルト注射の場合は、注射箇所に赤みや軽い腫れが出る場合がありますが、数日で治まることがほとんどです。術後の制限はほとんどなく、当日から日常生活を通常通り行うことが可能です。

STEP.5定期的なフォローアップ
治療後は定期的に経過観察を行い、効果を確認するとともに、必要に応じた追加の治療を行います。経過観察の際には、瘢痕が再発していないか、見た目が改善されているかを慎重に確認します。また、患者様が気になることや疑問があれば、どのような些細なことでもお気軽にご相談いただけます。