二重埋没法はダウンタイムが短く、修正が容易で元に戻すこともできることから、気軽に受けられる二重整形手術として広く普及しています。一方で、切開法に比べて持続力が弱いことから、二重ラインの修正で何度も手術を受けられる方が多い術式でもあります。
では、二重埋没法は 一生のうちに何回まで受けることができるのでしょうか。今回は二重埋没法の回数制限について解説します。
二重埋没法の回数制限
安全圏は3回まで?
クリニックや、ドクターによって考え方は様々ですが、表留めであれば大体3回まで、裏留めであれば、基本1回(多くて2回)までとしている場合が多いようです。
二重埋没法は7-0や8-0という非常に細い糸で瞼を縫合して二重のラインを作る術式であり、基本的には瞼に糸が入っている感覚はありません。従って、1~2回二重埋没法を受けても瞼に何の違和感も無い方がほとんどです。しかし、いくら細い糸だからといっても、例えば10回手術を受けた場合にはたくさんの糸が瞼に埋まっている状態になり、様々な弊害が出てくるということが経験的に知られています。

手術回数が多くなると生じる弊害とは
瞼の中に埋没される埋没糸が多くなると、いわゆる「糸ボコ」といって、目を閉じた際に埋没糸や糸玉(=糸の結び目)が表面からボコボコ見えやすくなります。他にも、瞼の違和感、二重ラインのガタツキ、予定外瞼重線・多重重瞼線、糸の露出、感染などリスクも高まります。
これらのリスクは1個糸玉が増えるごとにその分増えていくわけですから、糸玉の数が少ないほど、また埋没されている糸の本数が少ないほど小さくなると考えられます。基本的に(糸玉の数)=(埋没されている糸の本数)なので、1本の長い糸で一筆書きの様にして連続的に留める線留めの方が、短い糸で数ヶ所留める点留めよりも糸トラブルのリスクは低いと考えられるのです。従って、当院の二重埋没法は線留めしか行わない方針としております。
手術回数というより瞼に埋没された糸の本数が重要
二重埋没法は様々な術式があり、単純に3回までなら大丈夫ということは言えないと当院では考えています。糸玉の数が多ければ糸トラブルのリスクが高くなりますし、万一抜糸が必要な場合も全ての糸を抜糸することが難しくなります。そのため、抜糸のことまで考えればせいぜい片側5~6本くらいまでが限度でしょう。手術回数でいうと2点留めなら3回、3点留めなら2回、それ以上なら1回というのが妥当なところでしょう。また、線留めの場合は糸玉1つだから5~6回できるかというと、糸そのものが長くなるのでやはり3回までというのが当院の見解です。
二重埋没法の限度とその対応
抜糸をするか、二重切開法に移行する
では、二重埋没法を複数回経験して再手術したい場合にはどうしたら良いのでしょうか。その場合は一旦抜糸をしてから再度埋没法を行うか、切開法に移行することをお勧めします。何度も埋没法を経験すると患者様の記憶が曖昧になり、どこのクリニックでどのような術式で手術したのか、糸玉がいくつ瞼に埋まっているのかが分からなくなってしまうのが一般的です。そのような状態でさらに埋没法を重ねて行った場合、修正や糸トラブルで抜糸が必要になった際に、抜糸をすること自体が困難になってしまいます。なお、当院では抜糸のことまで考えて術式や糸玉の位置などを工夫しております。
当院では、過去に複数回二重埋没法手術を行った方が修正を希望される場合、埋没糸の抜糸や切開法への移行をご案内する場合がございます。抜糸を完全に行えば、二重のラインは基本的に手術前の状態に戻りますが、手術を行ったことが無かったことになるわけではありません。修正のたびに抜糸を行えば理論上は何度でも埋没法は可能ですが、粘膜や瞼の内部に瘢痕組織が形成されて手術自体が困難になる場合がございます。何度か埋没法手術を受けていて修正を希望される場合、埋没法の抜糸や切開法を含む二重整形の修正の経験が豊富なドクターの診察を受けることをお勧めいたします。