美容整形を受けるにあたって感じている不安の1つが、「もし、整形に失敗したらどうしよう」ということではないでしょうか?今回は美容外科で行われている最もポピュラーな手術である二重整形手術の「失敗」についてと、それを防ぐためにはどうしたら良いのかについて解説します。
二重整形の失敗とは
よくある二重整形失敗の話は本当の失敗ではない?
そもそも、二重整形手術において失敗とはどのような状態のことだと皆さんはお考えでしょうか?XやYouTube、Google口コミなどで「失敗された」という投稿を見ると、
「二重手術したら失敗されてすごい腫れた」
「術後1週間経って腫れが引いたけど、左右差があるのでこれって失敗では?修正したい」
「埋没法の糸がまぶたから露出している・シコリができた・感染した、これって失敗では?」
というようなことが書かれていることがあります。確かに、心配になるお気持ちはわかるのですが、私たち医療者から見るとこれらの症状は「二重整形の失敗」には当たらないと言えます。
例えば、「強い腫れ」は待てば必ず治ります。術後1週間で腫れが引くことは医学的にあり得ないので、ダウンタイム中の左右差も治る可能性が高いです。また、糸の露出・シコリ・感染などは抜糸すれば治すことが可能です。
ダウンタイム中に起きる腫れや左右差などの一般的な術後経過に伴う変化、感染や糸のシコリなどの完全に防ぐことができない手術に伴う合併症については、想定されるリスクの範囲と言えます。患者様はそれらを術前に説明されリスクを納得して自ら手術を受けること選択されています。これらを失敗と言ってしまうと全ての二重手術が失敗となってしまうわけです。

本当の二重整形の失敗とはどのような状態なのか
では、二重整形の失敗とはどのような状態のことなのでしょうか。それは待っても治らない症状や簡単な処置で治したり修正することができない状態、これらを「二重整形の失敗」といいます。二重整形に限らないことですが、「不可逆的な変化で元に戻せないし修正も難しい状態」、それらが美容医療業界では「失敗」と呼ばれています。

埋没法の場合
それでは、ダウンタイム終了後、例えば二重埋没法手術を受けて3ヶ月経過して完全に腫れが引いてもなお左右差がある場合はどうでしょうか。その状態であれば簡単に治すことが可能です。広ければ抜糸すれば元に戻すこができますし、狭い方を広く修正することも簡単です。埋没法は手術前の状態に戻すこともできるし、修正も簡単な手術です。従って、どのような状況においても、埋没法は「整形失敗」という状態が理論上考えられない術式になります。1回の手術で仮に希望の状態にならなかったとしても、修正手術をすれば最終的には患者様の希望の二重を実現できてしまうからです。従って、二重整形を受けたいけどどうしても失敗が心配という場合は、埋没法を受けることが最も大事なことなのです。
切開法の場合
二重切開法はまぶたの皮膚を切開することで二重のラインを作る方法です。切開法は皮膚を切除することができるので、たるみが強い場合は埋没法より適していると言えます。また、まぶたが厚い場合、埋没法だとどうしてもハム目になりがちで、デザインが難しい場合もあります。切開法であれば脂肪を取り除き、腫れぼったさを軽減することが可能です。また、まぶたが厚い方が幅広の二重を希望した場合、埋没法だと目尻付近から外側のラインが出にくいことがあります。切開法であれば目尻まで切り込むことでラインを出すことができるのです。
埋没法に比べてメリットが多いと思われる切開法ですが、もし二重の幅やデザインが気に入らない場合は、埋没法と違って簡単に修正することはできません。もちろん、修正手術自体が難しいということもありますが、皮膚は切開すると必ずキズが残りますし、何回も修正していくとキズがだんだん汚くなっていきます。それに伴い二重のラインも不自然になっていきます。切開法に関しては、修正するという判断自体を慎重に行う必要があるのです。切開法で何度も修正を繰り返すと変な二重ラインになっていきます。実際にそのような患者様が、何人も修正のカウンセリングを受けるために私のもとを訪れました。できることなら修正はしない方が良いですし、そもそも切開法を受けることに慎重になった方が良いのです。
それでも、切開法の方が埋没法より取れにくいからという理由で切開法を受けたいという方が結構います。取れにくいということは、メリットであると同時にデメリットでもあるわけです。埋没法は取れやすいからリスクと考える人もいますが、取れやすいということは元に戻しやすいという埋没法の最大のメリットでもあります。一度切開した皮膚、切除した組織を完全に元に戻すことは医学的に不可能です。つまり、切開法は不可逆的な手術であり完全に手術前の状態に戻すことはできないのです。よって、切開法は、「元に戻せないし修正が困難」な状態、すなわち「整形失敗」という状態があり得る手術なのです。
二重整形の失敗回避法
安易に切開法を受けない
患者様の強い希望があったり、たるみが強い、まぶたが厚いなど、積極的に適応がある患者様に関しては切開法を勧めますが、初めて二重整形する患者様に対して切開法を勧めるということは当院では基本的に行っておりません。「二重整形の失敗」がご心配な方はまず埋没法を検討されるのが良いでしょう。
100%の仕上がりを求めない
そして二重整形に限らないことですが、100%の仕上がりを求める人は美容整形に向いていないので、特に切開法の手術は受けない方が良いと言えます。患者様とドクターは違う人間なので、デザインや完成イメージを100%一致させることは不可能です。仮にイメージを100%一致させることができたとしても、人体においてそれを100点の状態で再現することはできないでしょう。100点満点の仕上でないと納得できませんという人がもし切開法の手術を受けたら、修正スパイラルになる可能性が高くなります。とても美意識が高く完璧主義の人が切開法を受けるのは非常にリスクが高いので、そもそも美容整形をしないか、まずはお試しで埋没法を受けるのが良いと言えるでしょう。
ダウンタイム中に修正しない
また、100%の仕上がりを求める人は、ダウンタイム中の姿を受け入れることができずに修正を繰り返すことがあります。ダウンタイム中は二重のラインが未完成の状態なので、修正してしまうとさらに悪い状態になってしまいます。ダウンタイム中に修正しないということも、「二重整形の失敗」を回避するために非常に重要なことです。

まとめ
以上をまとめると、「二重整形の失敗」とは、患者様の希望とは異なる状態が完成し、修正したり元に戻すことも困難な状態のことです。「失敗」を回避するために重要なことは、安易に切開法の手術を受けないこと、ダウンタイム中に修正をしないこと、二重整形に100点の仕上がりを求めないことです。このようなスタンスで二重整形に臨めば、失敗して悲しい思いをするリスクが減ると思いますので是非参考にして下さい。
コラム著者

大手美容外科TCB東京中央美容外科で約10年間勤務。仙台駅前院院長、新宿三丁目院(TCB本院)院長・東京都エリア総括院長を歴任。TCBでは技術指導医部門のトップ・二重整形教育最高責任者として、指導的な役割を務めていた。YouTubeなどで美容整形に関する情報発信に積極的で、その内容がテレビ、雑誌、ネットニュースサイトなどに多数取り上げられた。豊富な症例実績を背景に10年間で培った技術を適正価格で提供する手術専門クリニックを2025年、地元仙台に開業した。
症例数:二重手術1万件以上、クマ取り手術5000件以上、糸リフト・切開リフト5000件以上、下肢静脈瘤3000件以上
資格:外科専門医、脈管専門医
学会発表・論文:経結膜的埋没法重瞼術の抜糸法の要点と成績
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