「裏留め埋没法は手術直後から腫れが目立たず、症例写真を見ても仕上がりが綺麗。糸玉が裏側にあるので、糸がボコつくリスクが無く、そして一番取れにくい。二重埋没法を受けるなら裏留め一択だよね。」
そう思っている皆さん、クリニックのブランディング戦略にまんまと騙されていますよ。

ということで今回は、裏留め埋没法のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
大人気の裏留め埋没法について真実を語ります。多くの美容外科医は教えてくれない有料級のお話です。
目次
裏留め埋没法のメリット・デメリット
・そもそも裏留め埋没法とは?
・裏留め埋没法のメリット
・裏留め埋没法は糸ボコのリスクがないの?
・裏留め埋没法のデメリット
裏留め埋没法が流行っている裏事情と注意点
・デメリットが多い裏留め埋没法が広く行われているワケ
・裏留め埋没法でも問題ないケース、適応について
・注意喚起
裏留め埋没法のメリット・デメリット
そもそも裏留め埋没法とは?
まず、裏留め埋没法とはどのような術式なのでしょうか。二重埋没法は、大きく分けて「表留め」と「裏留め」の2種類に分類されます。「皮膚側に糸があるから表留め、粘膜側に糸があるから裏留め」だと勘違いしている方もいますが、そうではありません。下図のように、表留めでも裏留めでも、皮膚側、粘膜側両方に糸があります。違いとしては、表側に糸の結び目があるのが「表留め」、粘膜側に結び目があるのが「裏留め」となります。

参考:裏留め埋没法の手術動画
裏留め埋没法のメリット
SNSを見ると裏留め埋没法のキレイな症例が並んでいますし、手術直後から全然腫れていないように見えますよね。大手美容外科や、大手出身ドクターのクリニックでカウンセリングを受けると、裏留め埋没法を勧められることが多いため、実際に裏留め埋没法を受けた患者様がSNSなどで経過を載せているのもよく目にします。そうすると、メリットが大きい術式のように思えてしまうのも無理はありません。
裏留め埋没法は、運針の際に皮膚に針を貫通させずに皮膚の裏側の組織に糸をひっかけて、最後に粘膜側で糸を結びます。皮膚を貫通させないので、手術直後から皮膚表面にキズが一切ないのが最大のメリットなります(下記写真の「裏留め埋没法」参照)。

一方で、表留めの埋没法の場合、通常は針を通すために皮膚を何ヶ所も切りますのから、手術直後に何か所もキズがある状態になります(上記写真の「切る埋没法」参照)。
裏留めは表留めと異なり、皮膚を切開しないため、切開する際に起こりがちな内出血も起きにくく、ダウンタイム中の腫れや内出血が目立たないというのもメリットです。もちろん、裏留めは皮膚にキズが無いのですぐにメイクができ、表留めに比べればダウンタイム中でも手術をしたことがバレにくいというのは間違いないと思います。しかし、裏留めだからといって腫れないわけでは無く、腫れが目立ってしまうことももちろんあるのです。皆さんがSNSなどで見かける症例写真や症例動画は、手術直後なのに腫れがほとんどないものもあると思いますが、あくまでもそういう症例を選んで載せているだけなので、ご注意下さい。
なお、当院では表留め埋没法でも皮膚を全く切らない術式「匠式切らない二重埋没法」を行っています。皮膚を切らずに針穴だけで手術しているので、裏留め埋没法と同じくらい術後の腫れが目立たない術式あり(上記写真の「匠式切らない二重埋没法」参照)、以前のコラムで詳しく説明しているので興味がある方はご覧ください。
関連コラム:匠式切らない二重埋没法とは?~皮膚を「切開する埋没法」と「切開しない埋没法」
裏留め埋没法は糸ボコのリスクがないの?
「手術直後からまぶたの表面にキズが一切ない」こと、「腫れが目立ちにくい」ということは、裏留め埋没法のメリットの説明として妥当だと思います。では、SNS等で見かける「糸玉が裏側にあるから、表留めと違って糸ボコのリスクが無い」というのは本当でしょうか。
実際にそう信じている患者様も多くて、「表留めだと糸の結び目が目立つから、裏留めを希望します」という話もよく耳にします。「裏留めだと糸の結び目が裏にあるあら糸ボコのリスクが無い」と説明して、料金が高い裏留め埋没法の契約を勧めるクリニックやドクターが多いので、このような勘違いが生まれるのですが、実はコレ、全くのデタラメなんです。
まず、表留め埋没法は皮膚側に結び目がありますが、皮下に結び目を完全に埋めますので通常は糸ボコにはならず、糸玉がどこにあるかはよく診察しないとわからないレベルです。逆に、裏留め埋没法でも糸のテンションが緩ければ、糸がたわんで表面にボコボコ目立つことはありますし、皮膚が薄かったり運針が浅すぎれば、糸が透けて見えてしまうこともあるのです。
「裏留めは糸ボコのリスクが無い、あるいはリスクが小さい」という説明は明らかな誤りであり、裏留め埋没法を契約してもうための「営業トーク」なのでご注意ください。

裏留め埋没法のデメリット
では次に、裏留め埋没法のデメリットについて説明します。
1つ目のデメリットは、取れやすいということです。裏留め埋没法は表留め埋没法に比べて明らかに持続性で劣ります。まぶたを貫通させない縫い方をしているので、まぶたを貫通させる表留めと比較すると、どうしても皮膚側の組織に糸のかかりが悪くなって、二重が取れやすくなってしまいます。
2つ目のデメリットは、デザイン性が良くないということです。特に裏留めは目頭付近の皮膚側の組織を拾うのが運針上困難なので、目頭ギリギリから二重のラインを出したいような希望があると、そこにラインを作るのが難しい場合があります。一方、表留めであればラインを出したい部分に糸を貫通させれば簡単にデザインすることができます。
これら2つのデメリットは、私だけではなく多くの美容外科医が経験的に知っている常識ともいえる内容です。
また、裏留めは万一の場合の抜糸のしにくさを指摘されています。以前のコラムで裏留め埋没法の抜糸は特別難しいものではないと解説しましたが、あくまでも抜糸に慣れたドクターの場合です。普段裏留め埋没法自体を行っていないドクターにとっては、抜糸のしにくさもデメリットになるでしょう。
関連コラム:「裏留め埋没法は危険なのか」問題について、学会や論文で発表してきた美容外科医が解説します
裏留め埋没法が流行っている裏事情と注意点
デメリットが多い裏留め埋没法が広く行われているワケ
では、裏留め埋没法はデメリットが多い術式なのに、なぜ裏留めをメインでやっているドクターがたくさんいるのでしょうか。それは、マーケティング戦略が主な理由です。
切ることが一般的な表留め埋没法は直後の腫れやキズが目立ちます。SNS全盛の時代、直後からまぶたの表面にキズが無く、当日からメイクもできて腫れが目立たない症例写真や動画をアップすることが、患者様の予約を集めるのにとても有効なのです。
実際にこれらの裏留め埋没法のSNS投稿や広告を見て、「受けたい!」と思っていた読者も多いのではないでしょうか。そう思うことが、クリニック側の思うつぼであり、表留めより高い料金を払ってでも受けるような術式では無いと私は考えています。
裏留め埋没法でも問題ないケース、適応について
もちろん、裏留め埋没法は皮膚を全く切らず、針穴も無い術式なので、手術直後からメイクができて腫れも目立ちにくい傾向にあることは間違いありません。ダウンタイムの都合や、できるだけ人にバレないように二重整形したいという患者様のニーズが多いこともあり、当院でも裏留め埋没法を希望される患者様には裏留めを行っております。
まぶたがそれほど厚くなく、たるみも無く、自然な幅の末広型を希望される方であれば、表留めと遜色ない仕上がりと持続性は期待できるので、裏留めを受けても問題ないと考えています。
逆に言えば、まぶたが厚い、たるみがある、シミュレーションで平行やMix型が作りにくい場合は、裏留めは明らかに不利なので表留め埋没法をおすすめします。
注意喚起
適応症例を選べば裏留め埋没法も悪くない術式なのですが、万能な術式では無いことも事実であり、当院では患者様が希望する場合に限りお引き受けしております。
しかしながら、マーケティングや単価アップなど、クリニック側の都合で裏留めをメインで行っているドクターも多く、裏留めを最初からすすめられる場合があるのでご注意ください。
コラム著者

大手美容外科TCB東京中央美容外科で約10年間勤務。仙台駅前院院長、新宿三丁目院(TCB本院)院長・東京都エリア総括院長を歴任。TCBでは技術指導医部門のトップ・二重整形教育最高責任者として、指導的な役割を務めていた。YouTubeなどで美容整形に関する情報発信に積極的で、その内容がテレビ、雑誌、ネットニュースサイトなどに多数取り上げられた。豊富な症例実績を背景に10年間で培った技術を適正価格で提供する手術専門クリニックを2025年、地元仙台に開業した。
症例数:二重手術1万件以上、クマ取り手術5000件以上、糸リフト・切開リフト5000件以上、下肢静脈瘤3000件以上
資格:外科専門医、脈管専門医
学会発表・論文:経結膜的埋没法重瞼術の抜糸法の要点と成績
詳しい経歴・プロフィールなどはドクター紹介をご覧ください。